精従懇をめぐる虚偽報告について
精従懇(http://seijukon.com)とは、正式名称を「精神保健従事者団体懇談会」と言い、精神医学、臨床心理学、精神保健学、精神看護学などの学会、実践諸団体の連絡と協働のための組織である。現状を批判的に捉え、「精神障害者」の人権擁護のための提言を重ねてきた実績がある。
日本臨床心理学会も長くこれに関わり、心理系の学会として唯一の加盟団体である。ところがこの数年間、担当者・藤本豊と鈴木宗夫両運営委員からは、運営委員会への報告がまったく行なわれていなかった。このため、近ごろ加わった運営委員(運営委員長を含む)にとっては、団体の存在さえ雲をつかむ如くであった。
会合は隔月に行なわれ、比較的活発な活動を行なっていたようだが、実態は当学会に知られなかった。また日本臨床心理学会の活動について、そこでどのような報告が行なわれているのかも、まったく分からなかった。それでも日臨心運営委員会は、毎年5万円の分担金を精従懇に負担し、担当者には会合のための交通費を支給していたのである。
この事態を打開するため、平成25年4月20-1日の第20期第6回運営委員会では、精従懇活動についてのきちんとした報告を求めるとともに、活動状況を日臨心運営委員が知悉する必要から、希望する運営委員一名を、担当者のうち一名とともに精従懇会合に出席させると議決した。
この時点での次回会合(第155回/6月1日)に、實川運営委員が参加を希望した。しかし藤本委員はこれに対し、「次回と次々回(7月27日)の会合は、すでに内容の決まっている11月の<フォーラム>の事務的な打ち合わせで、参加の意義は薄い。むしろ、受け付けなどの事務を押し付けられる恐れがあるので、9月からの参加が望ましい」と説明した。このため實川委員は6月の会合(第155回)への参加希望を取り下げ、9月28日の会合(第157回)に参加すると表明した。
ところがその後、藤本委員の説明への疑惑が浮上した。<フォーラム>の内容が煮詰まっているとは思えない情報の流れだったからである。酒木運営委員長は調査の必要を感じ、6月1日の精従懇会合への出席・調査を決めた。(酒木委員長は所用のため戸田事務局長に代理を依頼。ところが前日になって戸田事務局長に私的な急用が生じたため、實川運営委員がこれに代わり、委員長の代理として出席した。)
以下のファイルはその後の流れを示している。
精神保健従事者団体懇談会(第155回 平成25年6月1日)会議報告(實川運営委員)
藤本委員はしばらく沈黙し、もう一人の担当者鈴木委員が次のような二回の報告を運営委員会メーリングリストに寄せた。
精従懇(6月1日)会議の概要(鈴木運営委員)
精従懇(6月1日)会議の詳細報告(同)
いずれの報告にも、藤本豊運営委員が精従懇の次回の<フォーラム>の「副実行委員長」になったと記されている。藤本委員が精従懇の内部で信頼を得ていると印象づける記述だが、このような事実はない。藤本委員は「実行委員」に加わったが、「副実行委員長」という職責はなく、したがってそこに推挙された事実もない。(木太精従懇代表幹事に確認済み。)
また、会議での實川委員の発言については細かく記録している一方、藤本発言については「覚えていない」とのみ述べる不釣り合いな報告となっている。
藤本委員は一週間あまりしてから次の文章を運営委員会メーリングリストに投稿した。
「正直なところ、総て読んでいません」(藤本運営委員)
この投稿の前半6割ほどは、精従懇とは無関係の話題で占められている。特定運営委員の発言が「攻撃的」だったり「揚げ足取り」なので嫌気が差しているとの点が主である。
後半でようやく精従懇の件が語られるが、「フォーラムの内容が決まっていた」との発言の主が、實川委員にすり替えられている。
論点を外し、虚偽を再び交えて焦点をぼかしつつ、対抗相手の言動を誇張して不快感を煽る手法が全体に認められる。これは藤本委員の常用するところである。
なお佐藤和喜雄運営委員から、これでは疑問に答えていないので早急にきちんとした応答を求めたいとの発言が、第7回運営委員会西日本部会であった。しかし藤本委員は、東日本部会(東西統合部会)において、これで説明は尽くしたのでよく読んで欲しいと繰り返した。
したがって本文書は、藤本委員からの最終回答である。また、いわゆる「ガンザー症候群(Gansersches Syndrom/偽痴呆)」の発生状況にも示唆を与える文書で、この意味からも重要と考えられる。
これを読んだ戸田事務局長は次のような投稿を寄せた。
やっと議論の第一歩ですね!
しかしこれ以後、議論は行なわれていない。
ただし、東日本部会(東西統合部会)においては、藤本委員が嘘を吐かねばならなかった事情・心情をめぐり、擁護論が活発であった。「担当者の報告はそのまま信ずるべきだ」との発言さえあった。
戸田事務局長は、会費の適性な使用の面からも、両担当者の辞任を求めている。
[負担金] 精従懇分担金23年度分は未払いのまま年度末を迎えましたが、24年4月に23年度24年度分を併せて納入致しております。これらは既述通り未払い金として処理しております。したがいまして、負担金115,000円の内訳は、日心連負担金15,000円・精従懇負担金平成25年度分50,000円・日本心理研修センター寄付金一口50,000円となります。
ここで、精従懇(精神保健従事者団体懇談会)への分担金支出についての、20期事務局長および24年5月3日よりの暫定会計担当としての、所見と提案を付記したいと考えます。
そもそも、酒木運営委員長以下、事務局戸田をはじめ今期からまた比較的最近に運営委員を務めることとなった委員は、「精従懇」なるものについて、ほぼ全く知識(すなわち長く歴任継続する担当者から、予め運営委員会に恒常的に報告があるべき情報)を得られてはおりませんでした。
つまり、運営委員会内での「情報の不均衡」がここに生じており、暦年の担当者である多選委員2名によって、その情報は独占され、自発的かつ積極的にそれらの情報が運営委員会には報告されることは、少なくとも今年度初頭までは殆ど無く、その他の委員は、「無知」の状況に置かれていました。そこで、運営委員会メーリングリストおよび対面の運営委員会会議(主として第4回以降の運営委員会)において、實川委員から、担当者である藤本委員と鈴木委員に対して、隔月の定例会への参加報告を求めることとなりました。戸田も暫定会計担当として決算案・予算案策定に際し、一般会員への説明責任を果たすために、経費支出根拠を明らかにする必要があり、この経緯に注目いたしておりました。
しかしながら、以後、メーリングリスト会議においての本事案の滞りに困惑しました。戸田からも、藤本委員と鈴木委員に度重ねての問合せを致しましたが、それに対して、無回答或いは、度々の要請の末に必ずしも問いへの応答としては当を得たとは言い難い、論点の移動や弁明が返ってまいります。そこでいたしかたなく、追い重ねての問い質しの論点の焦点化を試みますが、依然、無応答となってしまいます。(余りにもこれへの推移が頻回であるため、これは無作為による攻撃的反応、即ち無視と黙殺と目すべきではないかとも受け止めざるを得ない心情に陥らされます)そこで、最終的な苦肉の策として、一般会員にこの実態を広く知って頂くとともにこのように質疑はおろか対話が進まない事態を打開するため、實川委員の質問をHPに掲示することに踏み切りました。
これを深慮無く行ったわけではないことに、ぜひご留意を賜りたいと願われます。諸般のリスクと責任を、戸田は引き受ける覚悟と自覚の元、この措置に踏切りました。それは、現状の行き詰まりを隠蔽し続けるよりもむしろ公に開示して一般会員とその背後の社会常識からの評価と判断に委ねたかったのです。そして、これに対しての意見を、「ノーチェックで公開掲載する」ことを約して、藤本委員と鈴木委員にお勧めしました。時系列ではその後に(つまり客観的にはこの戸田からの呼びかけに応じて)、藤本委員から、ML投稿により提出された文が、現在HPの「運営委員会」頁に掲示されている藤本委員の文章です。これは一字一句変更しておりません。
しかしながら、藤本委員よりのこの投稿を受けた際に、戸田は戸惑わざるを得ませんでした。その文中に、外部団体役員の実名が複数記されていたからです。そこで、もし精従懇事務局が許可しないならば、この実名箇所を修正削除したものに差し替えができるかもしれないと、急ぎ精従懇事務局に問合せ致しました。しかし、事務局からの回答はありませんでした。そこでやむなく、約束通り「ノーチェック」にての公開を維持することとなった次第でした。
なお、その後7月27日に精従懇定例会が開催されましたが、精従懇事務局や実名の出ていた他団体の方からは、一切本件についての抗議や批判は、「本学会代表」として出席した酒木運営委員長にはありませんでした。本学会事務局への回答も、現時点(8月8日当時)においてもありません。ここで、お断り申し上げておきたいのは、實川委員や田中委員、戸田からをはじめとする、精従懇に関する質問は、けっして質問のための質問であるとか、藤本委員や鈴木委員の説明に対しての「言葉尻を捉えた(揚げ足取り)」などではなく、素朴に「無知」、すなわち分からないからお尋ねであったと思います。それに対して、長年にわたりこの重要な他業種間の連絡協議のための団体に関わりを続けてこられた即ち情報格差において優位である2名のご担当者は、無知な他の委員からの情報提供の要請があった際に、率先してのご教示を頂く義務即ち説明責任をお持ち頂かねばならないのではないでしょうか?
それが本20期の期末に迫るこの現時点においてさえ、果たされていないからこそ、そして当該団体と本学会との良き連携となるべき、相互の情報交換によりよく働いて頂けているのかどうかさえ、不明瞭であり続けてきたという状況があったからこその、度重なる情報開示要請となってしまったという経緯がございました。ここに一つ銘記すべき事態が生じております。以下、具体的に申し上げます。第6回運営委員会においての藤本発言において、25年11月に予定されている当該団体のフォーラムの準備状況についての事実とは異なる報告が為されたました。それが事後的に判明したときに、これについて問い質す實川委員に対して、藤本委員と共に長年に渡って運営委員を歴任されてきた複数の委員から、藤本委員の対応を擁護する意見が出ました。或る委員は、「担当者の報告をそのまま信じるのが信頼というものであり、虚偽を疑ったり調査に行くのがおかしい」と陳述されました。また別の委員は、藤本委員の虚偽報告があった事実を認めながらもその事実の適否については一切問わず、むしろ藤本委員がなぜこのような言動をせざるを得ない状況に追い詰められたのか、その状況をもたらした實川委員への間接的批判を主旨とする発言をなさいました。しかしながらここで顧みられるべきことは、恒常的に藤本委員・鈴木委員が運営委員会への報告を怠ることがなければ、この事案は元より生じてはいなかった、という事実です。この事実はここでは全く問われようとはしていないのです。或る委員が指摘されている「調査」とは、實川委員の6月1日の定例会出席を指します。
これらの経緯を重くみた酒木運営委員長が、後に「担当」に加わることとなり、7月27日定例会に委員長決裁にて實川委員を運営委員陪席として参加をされましたが、この委員長決裁(精従懇MLへの委員長からの投稿による、委員長と實川委員の出席通知)を無きことのように、藤本委員と鈴木委員はこの7月定例会に参加されました。これらの行動が依拠する根拠は、おそらく、酒木委員長決裁よりも以前の、未だ藤本委員の報告内容についての事実関係の客観的評価が為されていない、4月の第4回運営委員会時点での申し合わせと推測されます。しかし両担当の行動は、時系列としてはより新しい運営委員長決裁を蔑ろにし、かつ事前に運営委員会の了承を得ないでの出席となりました。このような会務運営の秩序を軽視し、その場に応じての自らの恣意的つまり都合のよい判断で、費用の発生する会務を遂行する事態は、じつは本運営委員会では少なからず生じており、これはその一例に過ぎません。ともあれ、酒木運営委員長と實川委員が、これら2回の精従懇定例会に参加せざるを得なかった第一義としての目的は、当該団体と本学会とが、今後連携していくことの意義を探ることであり、本学会にとって、この団体に加盟、すなわち年間5万円の分担金を供出するだけの費用対効果が期待できるのか、すなわち本学会にとって有益であるのかを査定された、と事務局長としては理解致しております。
総じるところ、これまでの担当者による、適切な活動報告が恒常的に為されていたならば、今回のような一連の精従懇関連の問題で、しかも役員改選時機を前に、これほどまでに問題が複雑に錯綜した状況には陥らなかったということが言えるでしょう。 暫定会計担当の立場から戸田は、今年度予算案策定過程において、精従懇担当者の藤本委員と鈴木委員に対して、自らが知ることができなかった事実関係や具体的情報について、(それは、暦年担当委員のお二人に取られて恐らくは、基本的で当たり前のことばかりであったのかもしれません)度々お尋ね申し上げて参りました。それにも関わらず、藤本委員からは、無回答。鈴木委員からは、事務的ではなくむしろ情趣を伴う、謂わば反射反応的ご回答は頂けました。しかしながら、それは当方からの問いに対しての的確と評価させて頂けるご回答であるとは、まことに残念ながら必ずしも得ることは叶いませんでした。
暫定会計担当といたしましては、このお問い合わせの数々は、来年度以降の予算案についての、<事業仕分け>を目途とする切実な問いである、との認識に基づいて、職務を果たすべく、鋭意お願いしてまいりました。しかし、上述のような情緒的反射とも見受けられる反応に阻まれ、お答えが頂けなかったのではないかとも顧み、推察いたしております。
現時点(8月8日当時)において、今年度25年度分の精従懇分担金支払いは、事務局長兼暫定会計担当判断にて凍結しております。言うまでもなく、その理由の最大のものは、精従懇会に今後ともに加盟することが、当学会にとって将来的に年間5万円の分担金を拠出し、担当者の旅費を拠出するに見合う利益があるのか、という疑義に他なりませんでした。しかしながら、この事案につきましては、酒木運営委員長と實川委員が精従懇MLにての投稿記録を具に検証され、かつ實川委員からは、例会に参加されることによって、参加の意義についての、これまでの担当者からは為されることが極めて稀であった、自らの見地からの論評を含めた詳細なご報告がありました。そのご報告を踏まえ、暫定会計担当戸田は、8月10日に提出予定の総会議案である本年度予算案に、本会への継続的加盟を見込んだ予算を計上いたしました。
しかし依然として、現在のメーリングリスト会議においても、實川委員および暫定会計担当戸田からの質問や論評に対しては、藤本委員および鈴木委員による無応答、および応答があってもその応答内容の妥当性への疑義を抱かざるを得ません。これらの経緯から自ずと、お二人の委員の<分限資格者たる説明責任の不十分な履行という事実>が、累積するという事態が、なお継続しております。このような事態を鑑みるに、藤本・鈴木両委員には、来期も引き続き、当該団体「精従懇」から、本学会の代表者であり利益の代弁者として見なされる立場に任ぜられることにより、運営委員会の一部の委員のみの恣意的な利権に資するのではなく、<本学会会員総体として承認可能な分限者としての説明責任>を果たし、会員総員による信託・信頼に価する成果を示しては頂けるのであろうか?との疑問を、拭い去ることが出来ません。
以上からの結論と致しまして、今年度定期総会において提出する、予算案の精従懇担当に関わる経費支出に関しましては、最終監査日前日である8月2日までに継続して参りました、精従懇の歴任担当者藤本・鈴木二委員に対するヒアリング調査の結果として、以下を提示させて頂きます。
今年度以降に精従懇への加盟すなわち分担金を学会として拠出する必要条件として、以下を提案します。:
1)20期まで「担当」を務めてこられた藤本委員・鈴木委員には、とりあえず一旦、ご退任いただく。
2)「代表」は、運営委員長とする。
3)隔月で催される定例会には、運営委員全員が各例会ごとに回り持ちで1名ずつ交替で運営委員長と共に出席する。
4)これら1)〜3)により、運営委員会全体で、すなわち運営委員全員が、精従懇の情報を均等に格差なく共有することが可能な態勢を整える
付記;本学会は現在任意団体であり、他の団体への移行の可否等も検討課題となっております。税務処理上の問題も含め、慎重な議論が必要と考えられます。また、心理臨床職域に多い非常勤職・非正規労働者の相互扶助の組織として健康保険組合等の設立のために他団体との連合・協力の可能性を探る事案の検討を来期運営委員会に求めたいと考えます。
平成25年度事業会計報告 平成25年8月8日記
(文責:暫定会計担当 戸田游晏)