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心の近代

〜 三筋の結界とメスメル 〜

實川幹朗

2013年10月31日:北大路書房 定価:5,400円+税
ISBN 978-4-7628-2823-2 C3011

http://www.hanmoto.com/bd/isbn978-4-7628-2823-2.html
 
自明のこととされている「意識」とは,はたしてそれほど確かなのであろう。本書は西欧近代の流れの中で自明とされ,それに立脚し組み立てられてきた「心」の扱いに正面から疑問を投げかける。近代的な意識の成り立ちを,発生の源流メスメルにさかのぼり丹念に検証する。
 
目次:
*まえがき
1 意識の<世界学>へ − <うぶすな>からの狙いと語り
意識という「明らかな謎」
裁きの庭と専門家の蒙昧
近代の中軸としての臨床心理学
「臨床心理学/心理療法」という事例
ほか
2 境目に立つ男の挿話 - メスメルについて
物と心の境目 - 心が物理的に運動する
宇宙と人間の境目 - 穴のあいた革袋
宗教と科学の境目 - 物質か想像力か
素人と専門家の境目 − 排除の理由
意識と無意識の境目 - 「革命」の手前で
ほか
3「心の近代」の三筋の〆繩
意識革命
<意識一色流> − 「心理主義」という中軸
<意識一色流>の足許
<意識棲み分け流>の強面分派 - <排他実証派>の急進と限界
<意識棲み分け流>の弁え分派 - <認識批判派>の<白>無意識
<意識植え付け流> - <黒>無意識の征服
<意識革命>三流・二派の見晴らし
ほか
心の囲い込み
<領域系>の囲い
<人間系>の囲い
<精神/物質系>の囲い
<心の囲い込み>の近ごろ - 臨床心理学と「科学的常識」
ほか
一つ掲げ
虚無への梯子
争いから<一つ掲げ>へ
永遠の争い
<能動強迫>と<受動恐怖>の立ち出で
女を捨てた男=父神
予定する至高の「一つ」
傷つきやすい能動者の<受動恐怖>
二匹の組む金太郎飴ウロボロス
<受動恐怖>から「男性的抗議」へ
ほか
4 さらに考えてゆこう
*あとがき
 
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「臨床心理学」という近代 : その両義性とアポリア

大森 与利子

   2005.11 東京 : 雲母書房
http://www.junkudo.co.jp/mj/products/detail.php?isbn=9784876721849
臨床心理学という近代知を読み直す! 近代を批判的に透視したフロイト、マルクス、ラカン、アルチュセールらの理論や社会学の知見にも依拠し、「共生・共存」に根差した「節度の臨床心理学」復活への道筋を探究。
市場競争原理に取り込まれ拡大化しつつある、臨床心理学という近代知。 今日の臨床心理学は、個人還元論が優勢で、社会・状況還元論は退潮傾向にある。そのアンバランスな構図に不健全な時代状況が映し出されている。 はたして、この近代知は個に優しい知なのか。共同性感覚を育む知となり得るのか。

〜目次〜
第一章 「臨床心理学」の問題系  1「臨床心理学」という突出現象  今、なぜ「臨床心理学」なのか/突出現象の裏側 2ポピュリズムと心理学  ポピュリスト・ナショナリズム/心理学知見と市場主義経済  3「心いじり」に群がる人々  学校や家庭を覆う心理学熱/「心の教育」と臨床心理学/不安緩和剤としての「心いじり」  4もうひとつの「逆転移」〜臨床家の「シニフィアン」と「シニフィエ」〜  臨床家とは?/指導者の言説/脱・主流言説の周辺/もうひとつの「逆転移」  5「臨床心理学」というイデオロギー〜人間観を追う〜  心理学成立の経緯/臨床心理学の今日像/セラピー・そのイデオロギー/「病者」=当事者の眼差し
第二章 市場競争原理主義と「心理学」の台頭 1個体還元論(こころ主義)の蔓延  「こころ」が言挙げされる時代/「こころ主義」の陥穽/  2消費社会における個人化の進展と「心理学」の役割  消費財としての家族/グローバル経済の中の個人/個人化の進展と専門家依存 3自己責任論と自助努力論  心理学言説の群れ/教育場面と心理学的ロジック/地域社会と心理学的ロジック/企業社会と心理学的ロジック
第三章 「臨床心理学」という近代  1「臨床心理学」のアポリア  わが国における歴史的展開/歴史的シンポジウムそして対論/臨床心理学のアポリア  2「個人の病理」と「関係性の病理」  病理把握の根源的相違/近代性把握の根源的相違  3「語ること」と「語らされること」〜ナラティヴ・セラピーという試み〜  セラピストの《語り》とクライエントの《語り》/アンチテーゼとしての「ナラティヴ・セラピー」
第四章 近代性と精神分析  1精神分析の深淵  ラカン・アルチュセールのフロイト解釈/「精神分析」私見  2フェティシズムと近代性  フェティシズム形成のメカニズム/近代化というイデオロギー/わが国における近代批判の潮流
終章 アポリア超克は可能か〜パラダイム変換への視座〜  1「臨床心理学」の射程と限界  職業的倫理について/生活・援助場面の心理主義化/知識社会学の示唆  2「エスノメソドロジー」という視点  現実の社会的構成/「エスノメソドロジー」とは?/セラピー言説の拡張/社会学の刺激的試み  3「共生・共存」へのアプローチ  「弱さ」との「共生・共存」/当事者性ということ/教育場面における「共生・共存」/ 結び

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