精神医療問題のいま ~学びと交流の会~

日本臨床心理学会関西委員会有志主催

精神医療問題のいま
   ~学びと交流の会~

講演:中川 聡さん(精神医療被害連絡会代表・NPO薬害研究センター研究員)

日時:平成25年7月13日(土) 13時半~17時

会場:芦屋市民センター203会議室 (兵庫県芦屋市業平町8-24)

※ 資料代500円のみご負担をお願いいたします。

[趣 旨]

向精神薬の服用に伴い、いまそして未来の心身の健康と平穏な日常が損われ喪われることが生じています。これは、精神医療ユーザーの自己責任のみに帰すべき問題なのでしょうか。向精神薬の知識を詳しく学んでいない周囲のひとびとが善意から医療機関受診を勧め、医療機関の中では、医療者をはじめ心理職・精神保健福祉専門職ら「心の専門家」が、患者の悩みを傾聴し訴えを深く受容した結果として、多剤投薬に至ることがあります。

<薬害をもたらす善意の人々>は、家族や教師、マスメディア、製薬会社営業員だけではなく、実際の支援と治療にあたり、患者のこころとからだを守る最後の砦である精神科医師、心理・精神保健福祉・介護・看護専門職に他なりません。

心理・精神保健福祉に従事するわたくしたちは服薬を続ける方たちと日々出会い、その方々からの問いかけを受けたとき、持てる限りの知識と情報を以てなんとか対応していきたいと願っています。  発達障がいの診断を受けた子どもたちの向精神薬薬害への問題提起が、本年2月、東京での本学会研修委員会公開シンポジウムにて行われました。ですが、これは端緒に過ぎません。地元関西の薬害被害者の声に耳を傾けますと、関西は薬害問題への関心があまり高くなく、薬からの離脱・減薬のための代替医療機関を見つけるのが難しいとのことです。2月の公開シンポジウムを引継ぎ、ここ関西においても、ユーザー・家族と現場専門職との対話をさらに深めていかねばならないと考えます。

薬害は原発問題と同じ構造を持つと指摘されることがあります。3.11を越え、いまや民意が「神話」のくびきを外しはじめました。つまり、注入されてきた知識に対抗する個のリテラシーの復権が意識化されつつあります。そのような民意こそが、政府・経済界・産業界・マスメディアを静かに動かしていくのです。しかし、向精神薬問題についてはどうでしょう。<善意の陰謀(Medawar,C.)>は、その害を自分の一番大切な人、こころから支援したいと願っている相手に、今日いまこの場で、もたらしつづけているのではないでしょうか。わたくしたち心理・精神保健福祉領域の支援者には、向精神薬によってもたらされる可能性のある被害を、最後の砦となって防ぐ責務があります。

関西にて開催される8月の定期総会に先立ち、この7月13日の研修・交流会では、精神医療被害連絡会代表中川聡さんをお迎えし、服薬による被害を経験した方々のご参加も頂き、対話と交流を通して多くのことを学びたいと願っております。

日本臨床心理学会運営委員会事務局長・関西委員 戸田游晏

「精神医療問題のいま ~学びと交流の会~」への1件のフィードバック

  1. 平成25年7月13日に開催された、日本臨床心理学会関西地域会員有志主催の向精神薬薬害についての「学びと交流の会」の記録を、当日のメモから纏めましたので、投稿させて頂きます。(戸田游晏)   

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      『精神医療問題のいま』~学びと交流の会~ の記録

    講演:中川 聡さん(精神医療被害連絡会代表・NPO薬害研究センター研究員)
    会場:芦屋市民センター市民会館203室
    日時;2013年7月13日 (土) 13時30分~16時55分
    主催:日本臨床心理学会関西委員会有志

    中川さん講演(13時30分~14時55分)

    まえおき
    私は医療過誤裁判の当事者である。妻を亡くし、やむなく調査を始めた。医療の常識が社会の常識になっている。原告がいかに正しいことを主張しても医療の論理で裁定される。これは世の中を啓蒙する必要あると活動を始めた。
    10月に日本社会学会で研究者として発表する予定。医療界からの情報ではない。副作用から見た情報。先日刊行されたNPO医薬ヴィジランスセンターの冊子に浜六郎氏との対談が掲載されている。
    本日のために、この「オルタナティブへの招待」の資料を作成した。
    この一・二ヶ月の間に重要なことが起きている。
    井原先生の日本精神神経学会の抄録を参照してほしい。医原病。精神科に行くと精神病になる。内部で大げんか。SAPIOという雑誌にその喧嘩の様相が記事になっている。精神医学を批評することが国民の義務である。悩める健康人を鬱病にして治療してしまっているベンゾジアゼピン(BZ)の問題をどのようにファイドアウトしようかと画策しているのが現在の精神医学界。あたかも自分たちでその問題に気づいたかのように装っている。じつは、被害者会が長年にわたって圧力をかけてきた。違法薬物治療の機関に、いまや向精神薬の薬物依存受診が増加している。薬がないといられない。鬱病圏だけで百数十万人。百万単位で向精神薬の薬漬けの患者が増えている。

    病気づくり
    テレビCMの作り方、あたかも政府公報のような。連呼するだけ。内容は誰も問うてない。たとえば、禁煙のため処方されるチャンピックス。これは向精神薬。被害報告ナンバーワン。薬局で買える禁煙パッチの方が効果は高い。D.ヒーリーの日本での講演資料がこの2枚のポスターの比較。かつて、高齢女性がかかるもの(メランコリー)であった鬱病の定義が、変わった。若い人に鬱があるということを精神科医が多数決で決めた。もう一つのスキップしている若い女性。SSRIをハッピードラッグとして売った。新しい薬の進歩はない。単純に対象だけが変わった。パニックという言葉を初めて使ったポスター、アップジョン社。ソラナックスを売り出すため。最初はパニック障害に効くとされていた。パニックという病気を宣伝しているだけのポスター。世の中にパニックという病気がある、という広告が、販売戦略に効果的だと最初に示した例となった。しかし日本には薬事法がある。この法律では薬の効能を直接宣伝できない。官僚の言い分、「日本では製薬会社の悪行が知られてないから規制しにくい。」若い官僚と課長以上は異なる。課長以上は腐りきっている。実質的に薬事法違反。オンブズパーソンの発言力が求められるが。新しい薬ができると病気ができるという相関関係がはっきりしている。しかし実際には、「新しい薬」などは開発できてない。昔からある薬を少し変えて「新薬ができました」、ということになっている。便秘の副作用を使って、過敏症の治療薬とするなど。かつてのクロロプロマジンとイミプラミンぐらいしか大きな発見はない。
    金融資本主義が背景にある。私も会社を15年やっていた。この日本では会社は成長しないと相手にされない。株主からの圧力も厳しい。大手の製薬会社はとにかく成長しないといけない。合併による企業体の肥大化。肥大化している組織を維持拡張する必要がある。(経営者ら)個人の性格などの問題ではなく、会社が暴走している。一般大衆が日常的に使うもの。向精神薬を日常に使うものとする。「みなさんがかかる病気である」と宣伝した。とくに問題は、双極性障害。Ⅱ型は医原病。躁転。DSMの編集者自身が言っている。統合失調薬をその他の症例に使ってはいけない。キレがよい薬。1mg単位で聞く。気分安定薬としては強すぎるので、加減が難しい。昔の方が薬の効きが弱かったのでまだよかった。新薬を重ねるとたいへんなことになってしまう。薬効は頭打ちとなるので薬を重ねるのは意味がない。

    医療化
    病気でなかったものを病気にする。社会制度のなかに医療がでぱってくる。学校にも産業界にも医療の手先のような「カウンセラー」ら。自立支援法。精神科医療が物事の決定の権限を持っている。司法にも口を出している。
    医療界の一部が権限が欲しい。金銭ではない、支配欲。いかに医療の需要を増やすか。「こころのケア」という名のもとに全ての施策が推進される。魔法の言葉。

    善意の陰謀
    悪気はないがどんどん医療に繋げてしまう。鬱病は病院に繋げることが正しい。精神科の治療がどんなものかを知らない。自分が善意の陰謀の加担者であることに気づかない。
    薬物治療の何が悪いのかを示さず、薬ですべて解決出来るという幻想。
    「治療薬」と書かれている。しかし、「治す」機能はない。治るようなイメージ。本人の問題対応能力を奪う。闘う力がなくなる。借金に悩んでいる人はさらに借金が膨らむ。元々の問題を放置することになる。
    いじめられている子が薬を飲まされている。DVシェルターの母子、震災の被災者。社会的弱者ほど薬を飲まされている。子どもと高齢者。強い人たちが弱い人たちを管理するため。施設の管理のために使う。人手がないとの言い訳。
    強い者が弱い者を管理する道具として薬が使われている。

    オルタナティヴへの招待
    野田正彰の「悲嘆のプロセス」を参照頂きたい。
    福島等に精神科のNPOがどんどん行って、被災者が薬漬け。阪神大震災。PTSDの言葉がはやった。PTSDだから治療しなくてならないと薬を出された。最近はPTSDと言わなくなった。2005年からPTSD学会のHPが更新されていない。
    単純に「鬱病だから支援」と。すべてを鬱病と判断して、睡眠薬と抗鬱薬を処方することになった。「悲嘆に向精神薬をつかわないで」と言いたい。理由のある悲嘆は治療の対象ではない。精神科の薬は効かない。治らない。52パーセント(プラセボ効果を含む)しか効かない。
    厚労省では既に子どものうつには抗鬱剤は効かないことがわかっていた。これに野村総一郎が反論。その反論の根拠は、一部の医師の投薬を行った印象での経験。
    2000年以降の抗鬱薬には自死リスクがある。効かない薬を飲んで死んでいる。高齢者にはメリットがあるかも、しかし若い人はリスク。30人に1人が亡くなる。40才を境に。若い人の自殺率高い。自死遺族の団体が2000人に調査した。最初に相談の電話がかかってきたときに「病院にかかってましたか?」と聞くだけの調査。20才台100パーセント。30台ほぼ95パーセント。高齢者女性50代60代には抗鬱剤処方されることが多い。処方率が高いところに自殺率が高い。
    「不審死」は、この10年で5万人増。3万人の自殺死は過小評価と言える。

    PUS(Public Understanding of Science)とオルタナティヴ運動
    時間軸、人間の悲嘆を中心に考える。欧米の心理職は。DSMに対して反対。その中心を担っているのは、心理学者と一部の精神科医。DSMは悲嘆を診断から外していた。それをこのほど取り入れた。心理学者が大反対。だが、重度の鬱状態の人は治療対象だと押し通された。
    これらに対抗して、コミュニティの中で解決していこうとの運動がある。オルタナティヴ的福祉を目指す。佐賀県の引きこもり支援施設がある。就労に関して企業との折衝まで行う。精神科には繋がない。そのような団体の連合を作りたい。精神疾患モデルに基づく批判グループがある。
    福祉に徹して、医療を使うという位のスタンスになってほしい。

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    フリートーク(15時15分~16時55分)

    Tさん:ソラナックス服用。4年禁断症状。「3週間で消える。」と言われたのに。精神科医には繋がないでほしい。精神科医という人種はこころを臓器だと思っている。脳にしかこころがないと思っている。中枢神経に。状態を上げるか下げるか、ヘロインよりも離脱しにくい。一生飲み続けていいとか、ほとんどの精神科医がそのような認識。「こころのケア」が身近な言葉になっている。しかし、精神科医は覚醒剤、麻薬の投与しかない。BZが諸悪の元。最初はデパスとかから始まっている。これは短期型。朝飲んだら昼に禁断症状。不眠が悪化したと思ってしまう。BZの後遺症、睡眠薬の副作用が不眠。浜先生の意見を参照。睡眠薬を使うとGABAを活性化。人間はいろいろなスイッチが効いて、社会生活を営める。過剰服薬により、自分の身体でGABAを出せなくなる。問題が複雑化してしまう。脳はいちばん繊細な器官。不可逆的な変質。離脱症状はせいぜい4週間ぐらいで終わると医者は言う。アルコール、ヘロイン等は何らかの後遺症が残る。特別な真性な(神聖な?)作用があると思っている人があるが、アルコールや違法薬物と同じと考えてよい。

    Sさん(女性):パキシル服用。ひきこもり、躁転でやりすぎ、を繰り返す。家庭が崩壊、なにもかも喪った。薬を辞めても、身体が揺れて止まらない感覚が今も続く。受診すると、せっかく薬をぬいたのに、また服薬を勧められる。再服薬は、過敏症となり効き過ぎる。このような経緯では当事者を孤立させてしまう。

    中川:薬を止めたサバイバーの発言が貴重。まずレッテルを外したい。いったんついてしまった障害者レッテルを。就労支援なども課題。

    Sさん(男性):減薬中。離脱が出ている。首等の違和感、針で刺されているような不快な感覚等様々な症状を、今現在も感じている。しかし、薬はけっして服薬しようとは思わない。精神薬の「効果」は全て副作用。せいぜい覚醒さすか鎮静さすか。K町(兵庫県神戸市)の病院で乱処方を受けた。精神科医以外からの情報で減薬が進んだ。
    薬物療法は治らない。子どもに精神薬を飲ませるのはやめてほしい。薬物療法ではなく、住環境の見直し。薬物療法を使わない心理士に相談する。食生活の見直し。家族関係。かなり改善されるかとは思う。薬物療法以外の緩和療法。東洋医学で緩和する。

    中川:リスパダールを子どもと高齢者に処方する問題。
    子どもへの適用は本来、コンサータとストラテラ(ADHD治療薬)のみなのだが。
    FDAの副作用報告によると。精神科では7割に向精神薬が投与。当初から、統合失調薬を処方されて、いつのまにか本当の統合失調症に。最初は統合失調症薬を使いたいために診断名を「統合失調」とするが、真性の統合失調症になる。保険適用のための診断名をつけて、投薬。鬱病も、そのうち本当の病気になる。
    子どもにはいろんな認知の発達途上。余計な信号を入れる。セロトニンを100パーセント遮断する。感動や感情がなくなったとの報告がある。子どもの脳にとっては、どんな影響が出るかがよく分かってない。

    中川:S君、自立支援の予算を使っているディサービスの実態を語って欲しい。

    Sさん(男性):適当に食事を与えてあとは遊ばせている。来所の人の疾病利得を助長する。施設の人は、「いましんどいから、がんばらなくていい。」と言う。施設の人の言う「寄り添い」に拒絶反応を感じる。口癖のように「いまはがんばらなくていい。」と言い、「おくすりは飲んだの?」と聞いてくる。「飲んでない」というと、「調子悪いんじゃないの?飲んでなかったら生活のリズムおかしいんじゃないの?」と言われる。利用者は、飼い慣らされている。ほとんど自立支援と生活保護。利用者には金銭的問題は生じてない。ほとんどの人はそこに浸かっているだけ。社会復帰した人はいない。病院に戻ることが多い。

    中川:練馬区役所に問い合わせた。ディケアからの社会復帰率はゼロとのこと。3兆5千億の国家予算が計上されているのに。

    Sさん(男性):精神薬を飲まされ、社会から孤立、社会から引き離されて、孤独。税金でそんな状態にさせておいて、「寄り添い。」また税金を使って。非常に無駄。最初から飲まさなかったらいけない。このようなことを言ったらいけないのか、みんな気づいていないのか。税金をじゃぶじゃぶ使っている。

    中川:生活保護の開始理由は、全体の40パーセントが精神疾患が理由。4兆円。発達支援が3兆円。患者さんを当たり前のように誘導している。医療費がただ安くなる、と受けてしまう。延々と甘い罠。自立できない。

    和田(毎日新聞記者):自立させるためのなにかをやっていない。自立支援という名のもとに地域で閉鎖病棟を作っている。高齢者施設とかで薬漬け。悪循環としか思えない。

    中川:広島のPSW養成学校の講師で呼ばれている。コンプライアンスを守ることを教えられている学生たちが、私の講義で反対のことを聴く。大混乱となる。しかし学生は飲み込みは早い。福祉の人が医療にぶら下がってお金をもらっているかぎりは変わらない。総論賛成、各論反対となる。被害者からみると福祉の方は大きな抵抗勢力。この問題の解決を阻んでいる勢力。

    和田:精神医療全体でいえば、心理療法を勉強してきた医者もいて、症状の緩和のために薬をちょっと使う。日本の精神科医で認知行動療法が出来る人は殆どいない。日本の保険制度の仕組みが問題だ。わざわざ時間をかけて、認知行動療法30分で4000円。5分で薬を出して3000円。こちらの方が病院としては経営が成り立つし、簡単。殆どの精神科医は薬をだすことしかできない。悪くなったと思って薬を追加していく。薬剤師が医者にものを言えない。

    Sさん(男性):僕の主観だが、精神病はほぼない。あとからいろいろと病名を作り上げてきた。一方的な情報を知らず知らずのうちに吸収して、洗脳されている。支配する側の理屈で作り上げられた医療。

    中川:WHOの報告を真に受けて文科省が提言した。クラスに一人か二人発達障害がいることになる。問題児の一番目か二番目が発達障害となる。DVシェルターも深刻。薬を飲まないと口開けさせられて飲んだことを確認される。収容所みたい。ルールが先にある。「シェルターに入ってくる苛められている方(被害者)にも原因がある」という見なしが背景にある。
    大野裕と野田正彰との対談が興味深い。服薬を拒んでいる人に素直に服薬をするようにさせる方向性が窺える。

    Tさん:コンプライアンスばかり、精神医療の罠に引っかかる人は、向精神薬を飲むと正真正銘の「脳の病気」になってしまう。

    中川:身分制度。切り捨て御免。医者がやったことだからと。医師をコントロールする役所や制度はない。医道審議会があるが、殺人、レイプなどしか処分の対象にはならない。

    和田:医者の処方権、裁量権は突出したものだ。反証となるエビデンスが得られないと裁判は全て負けている。これが死因だと言えるものの鑑別、同定が難しい。

    中川:裁判官の医療過誤専門性も問題。東京医療集中部。裁判官は素人。時間内だけで判断する。致死量の薬を飲まされて死んでも、通ってしまう。医者の言うことを聞く。いかに原告側が勉強して証拠を提示しても採用してくれない。

    和田:権威者が味方になってくれれば早い。

    中川:司法の壁。医者と闘っているのではない、保険会社と闘っている。医者は謝罪。保険会社は、100パーセント拒否。裁判を経ない限り保険金を支払わない。裁判に至る人も100人に1人。勝率は1割、千人に1人。

    Kさん(女性の手技治療者):京都で整体師をしている。一定の効果がある。心理学の勉強はしていない。カイロ、オステオパシー。自律神経の調整をすることで心身の状態を変えている。このような病気の方を支えていくときに、問診、話しの聴き方が重要ではないか。自由診療でやっている。保険適用を扱うところは、お上(かみ)におもねらねばならない。

    戸田:臨床心理学会でも、そのような視点も包含して本学会独自の認定資格を検討しようとの動きがあったが、結局は頓挫した。その方向性は重要なので、進めていく方略について精密に検討していかねばならない。

    中川:発達障害という言葉は好ましくない。

    (平成25年2月10日に東京にて開催の日本臨床心理学会研修委員会主催シンポジウム、招聘講演者石川医師の話題を踏まえての議論へ。)

    女性A:石川先生の処方は、でたらめ。精神科の中で良い先生と言われている先生は、単純に薬に慎重なだけ。薬のことは知らない。大学の医学部で教わっていない。基本的には薬漬けを避けよと言いつつ、実情は異なる。

    中川:厚労省、文科省の官僚は、その状況をよくわかっている。メールマガジン読者には、現職官僚が10数人いる。医療費40兆円であるのだから(官僚としても関心を持たざるを得ない)。

    女性B:後遺症があるが、いま苦しいながら、努力して就労を目指している。症状も必ず良くなると信じているが。。。。

    中川:レールから外れると、同じレールに戻らないと行けないと、本人自身も思わされている。社会も当事者の意識もフレキシブルではない。私も将来の展望として、実質的な就労支援をやりたいと考えている。

    Tさん:私の後遺症はかなり酷い。私の経験を聞いて怖がらないで欲しい。

    中川:自死遺族から、「こころのケアは止めて欲しい」との声が上がっている。

    菅野:医師に繋ぐなということがでたが、うちの機関(那珂市教育支援センター)では、病院には繋がない。じっくり関わっていく内に数年かかってよくなっていく。薬に頼らない医者任せにしないという方針で行っている。茨城には光風会というNPOがある。「寄り添いがいやだ」という言葉が出たが、この会では、利用者に自主的にやりたいことの企画書をだしてもらう。笠間焼の店を一般の町中に出す。
    医者のヒエラルキー構造ではなく、医師・福祉・心理が対等に語れる施策のある国があるのか。

    中川:ケベックを例に上げたが、他に、ベルリン市の場合、2週間に1回、テント村が設置され、市民の相談に応じる。医師はバックヤードで控えていて、必要に応じて出てくるだけ。NPO法人が主役で医療が従。これらは、野田正彰先生の情報だ。これが日常的な営みとなっている。
    この国がいちばんおかしなことになっている。私はかつてコンピュータ会社を経営していた。SEでもプログラマでも実力により報酬に大差。実力主義の世界。(医師のように)職業に応じて賃金が高いわけではない。

    谷奥:障害者の子どもたちが放課後利用してもらえるNPOを立ち上げた。共に生きる姿勢を大切にしている。

    酒木:宇部の本務校付属機関として、医療に頼らない文科省認可管掌の診療所を立ち上げた。臨床心理学実践者の本領を活かしていく試みとなると自負している。

                           以上 (文責:戸田)

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