「公認心理師」に関わる日本臨床心理学会の内部で生じていた問題(これまでのまとめ)

「公認心理師」という、メンタルヘルスの専門家の新しい国家資格が誕生しました。

「公認心理師法第42条2項」、つまり、<医師の指示に従う義務>を課せられたこの資格の取得を目指している人たちには、ぜひ知っておいてもらいたいことを書きます。

わたくしは、2012年1月から2013年8月まで、日本臨床心理学会運営執行部の事務局長でした。この学会の中枢に一時的に足を踏み入れたことで、わたくしは、この学会の執行役員の中に、今後の公認心理師制度運用の中核となることを志向する人たちが居ること、そして、その人たちが組み込まれている背後の大きな利権構造に気づいてしまいました。

SLAPP恫喝訴訟までにも至っているこの問題は、歴年の運営委員会が、執行役員以外の学会内の一般の会員に対し、客観的事実の詳報を意図的に統制してきました。そのため、まして学会外部の第三者に、この問題の内実を充分に理解して頂くことは難しいと思われます。恫喝訴訟原告の人たちが発行した機関誌と広報紙等印刷された文字媒体や「公式サイト」での言説など、一方的な広報が為されているのが、憂うべき現状です。

そこであらためて、「公認心理師」権益に中核的に関わりつつある日本臨床心理学会(任意団体)内部で生じていた問題の核心を、以下にざっくりとまとめてみようと思います。

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日本臨床心理学会という学会、「学術団体」がありました。

日本心理臨床学会という「臨床心理士」を認定している系列の学会は、もともとこの学会から分かれたものです。

日本臨床心理学会は、社会的に弱い立場の人たちに寄り添って、「共に歩み」「共に生きる」ことをモットーに掲げてきた(…..ということになっています)。

ところが1991年、国家資格問題で会員同士の意見が割れて、日本社会臨床学会という別の学会が出来て、分かれていきました。

その後この団体では、「学会」の名称から期待される高度な学問や研究をする事がメインの活動ではなくなりました。

その代わりに、精神科病院経営者をもっとお金持ちにする手助けをすることで、心理職の地位を安定させ、精神保健福祉関係の事業の経営者のお金儲けのおこぼれの恩恵をもらおうとする、つまり心理職の「生活権」を求める労働運動体になりました。

この運動を始めた人たちは、「全心協」という、精神科病院経営者の号令で集められた精神医療保健福祉の現場で働く心理職の団体(ギルド)を名乗っています。

この精神科病院協会御用達のギルド(御用組合)の会長や副会長、幹部の人たちが、日本臨床心理学会の運営委員会の役員を、長年に渡って務めてきました。

その人たちも最初は、精神医療領域(精神科病院他、公共・民間のメンタルヘルス関連施設)での、不安定だった心理職の地位の改善のために、とても頑張っていました。

そのような権利獲得の労働運動として、日本臨床心理学会の名前を運動員の肩書きに付けたり学会のお金を使ったり、ロビー活動などの政治運動に、この学会を使ってきました。

でも、この運動組織の外装は、あくまでも学術団体。

そんなふうに研究がおろそかになっては、「学会」としては、どうなのか?という危機感を抱く人も、当然、会員の中から出てきます。

「たしかに心理の労働者の生活利権獲得は大事だけど、そもそも、万が一国民の『心(思想・信条)』を国が医療システムを使って情報を集めたり、コントロールするなどという<悪用のおそれ>のある国家資格を、わざわざ作る必要があるのですか?」という問いかけも出ていました。

とくに、日本の精神科病院が国家政策によって有効利用されてきたこれまでの歴史を踏まえると、心理職が、精神科医療(医師)の支配下に入る「公認心理師」法案には、まだまだ議論が終わっていない、重大な問題が含まれていたのです。

「公認心理師」国家資格化運動をどんどん進めたい学会執行部主流派と、学問や研究をしっかりとする学会本来の姿を取り戻そうとしてきた人との間には、人間関係のもつれをよそおった(裏であやつられた)代理紛争がいくつかあったものの、2013年8月までは、まだ問題は運営委員会内に押さえこまれていました。

そんな中、ちょうどわたくしが事務局長を務めていた時の事、学術の底力をリニューアルして再建していこうというグループの中から、現在の精神科病院が担っている精神保健福祉医療の現状を批判し、告発する声が上がり始めました。

「精神科医療で、取り返しのつかない大きな被害を受けた」という人たちの声に耳を傾けて、その人たち本人の証言から、「被害」の実態を洗い出し、この学会が備えている広報メディア(機関誌)を通して世間に広めようとの動きでした。

これは結果的に、精神科医療に連なる民間営利事業全般や精神科病院の現状を、これではいけないと、するどく告発するものとなることが明かでした。

すでに、その前年、執行部内の一人の女性役員が、発達障害の子どもへの向精神薬投薬問題での研修会を小児科医師を招いて東京で開催していました。ただ、この企画の発案者は別におられました。それは、ヒアリング・ヴォイシズを日本に導入した方で、この学会創設時(1964年)からの会員でした。

その翌年、これに引き続いて、成人の向精神薬薬害問題を取り上げたのが、この関西での催しでした。↓

http://nichirinshin-o.sakura.ne.jp/wordpress/催し/研修会/

国家資格推進派の全心協幹部派と学術再興派との、決定的な対立が表面化したのは、事前に生じた諸般の妨げを押し切って挙行したこの催しを契機としていた、と今から振り返ってみると、さまざまな符合に思いあたります。

心理専門職の国家資格を作るために、「日精協」(日本全国の精神科病院の連合組織)に10年以上にわたって、全面的に協力してもらってきたのが、全心協です。

全心協の人たちにとって、政治運動の場として利用してきた、その同じ学会から精神科医療の被害者の告発の声が発せられることは、とてもマズいことだったのです。

この学会のここ20年来の役員で、全心協幹部の中でも飛び抜けて謀略に長けている方がおられました。以前には日本臨床心理学会の運営委員長も務めていた方です。

この方(男性です)は、2013年の役員改選で、危うく役員の椅子を失いそうになりながらも、有権者母数の読み替え操作で、からくも運営委員に留まりました。

その後その方は、前期の役員たちの運営執行がめちゃくちゃだったと、折りに触れては巧みに会員に印象づけの広報を行いました。併せて、内部事情を知らない地位や発言力の点で利用価値のある人たちを、「顔の見える」機会毎に味方に引き入れ、自らの代理者・代弁者として活用なさいました。対象となる他者の正常化バイアスという潜在的志向に巧みに取り入った心理操作・誘導術にかけてこの方は、文字通りプロフェッショナルでした。

ついに、2015年9月、安倍政権への多大な献金をしている精神科病院連合の陰の力で「医師の指示に従う」国家資格「公認心理師」は成立しました。

もう、こうなったら、全心協にのっとられている日本臨床心理学会の運営執行部は、勝てば官軍、向かうところ敵無しです。

そこで、自らの「正義」を信じて….等等とのきれいごとよりむしろ、誰にも文句を言わせない権力を握った絶対の確信の下、日本臨床心理学会史上初の「永久除名」や、SLAPP(恫喝)提訴までも、この「日本臨床心理学会」という名称とお金を使って、堂々とやりとげました

また、対外的に自分たちの正しさを証明するために、じつに賢い作戦を取りました。

訴訟の原告代理人として、狭山裁判や九条護憲論で「人権派」として名前の知られるやり手弁護士を高額な料金で雇ったのです。もちろん日本臨床心理学会のお金で。

ようするに、この学会が主体となっての精神科病院批判や精神医療福祉批判の動きを封じることは、国(内閣府)つまり「体制側」の意向に従う、国家施策に基づく施行者側の考えに同調し、賛同することなので、裁判には元々勝算があったのです。

それに、この恫喝訴訟は、組織の分派活動への制裁として、たいへん有効でした。

日本臨床心理学会という社会的地位のある組織が、一市民である個人を、組織力と組織の資産を使って訴えたのです。

一般人が被告とされるというそれだけでも、訴えられた人を、経済的に追い込み、社会的に追い詰め、心身ともに過酷なストレスにさらす結果となります。このように、

相手を痛めつけて口を封じることを第一の目的とするのが、SLAPP恫喝訴訟なのです。

この学会が本来モットーとする「社会的弱者との共生」を、それに最も反する恫喝訴訟提訴で踏みにじれるほどに、原告団体執行部の人びとの政治的権力と経済利権への志向が強かったということになります。

それでもなお、中身のない「きれいごと」ばかりを、立場上言い続けて行くという、全く救いようがない情況に今の日本臨床心理学会は、落ち込んでしまいました。

「やまゆり園事件」への空々しい論考は最新の機関誌に掲載されていますが、現在精神科医療で広く行われ続ける電気痙攣療法や身体拘束については全く取り上げられません。

ここ25年来の機関誌を見ても、薬の問題が出て来たのはここ最近ですので、日本社会臨床学会が分かれた後、この学会が実質的に、精神保健福祉利権者側のこばんざめの人々に掌握されてきたという見方は、間違ってはいないと思われます。

いまとりあえず、わたくしたちは今月末日の控訴審判決を待つ段階にあります。

控訴審も一審維持、わたくしたちSLAPPで訴えられた側が敗訴する可能性が高いです。

日本臨床心理学会側は、この「判決の後に次の提訴を行う」ことを前年度に決定しているので、わたくし側も次の法廷闘争に備えねばなりません。ですので、最高裁上告は、第二第三のSLAPPの被告となることも視野に検討しなくてはならないのです。

裁判は、訴えられると、絶対に逃げることができません。

つまり、押し売りで買わされる喧嘩なのです。

ですので、SLAPP恫喝訴訟とは、常に、かならず、

社会的強者が優位で、社会的弱者が事実上敗北する、

合法的暴力の中でも最大級に卑劣なハラスメントです。

それを今現在、現実に行っているのが、

いまや公認心理師の中核団体を目指して躍進をはじめた、

日本臨床心理学会(任意団体)であることを、

多くのみなさんに、知っていただきたいと思います。

(2017年10月13日、戸田游晏)

 

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