亀口公一氏記名文「全面勝訴のお知らせ」を受けて  

日本臨床心理学会並びに関係者の皆さま

お手元には「日本臨床心理学会会長亀口公一」記名の「<裁判報告>全面勝訴のお知らせ」を巻頭に掲げる、同名任意団体発行の『クリニカルサイコロジスト189号』が届いているとおもいます。

日本臨床心理学会に帰属され、また本学会の過去の業績を評価し関心とご厚意を寄せて頂いた皆さまに、学会執行部内紛が法廷闘争にまでもつれ込むに至ったこの事態に依って多大なご心配とご迷惑をおかけ致しましたことを、紛争当事者の一人として心よりのお詫びを申しあげます。

亀口氏記名文面にもあるとおり、一審判決を不当とし、私たち被告は4月21日に控訴致しました。控訴理由詳細につきましては、6月中旬以後にご報告致します。

現時点で、一点、申し上げたいことがあります。
亀口氏らが提訴した裁判は、SLAPP(スラップ)訴訟であることです。

SLAPP(strategic lawsuit against public participation)とは、社会的・経済的に優位な立場の組織・団体等が、劣位・弱者である個人を、仕返しや口封じ、見せしめの目的で高額な金銭等の賠償を求めることです。海外では既に社会問題となり研究も進んでいるのですが、日本にはこれを防ぐ制度はありません。

亀口氏らが提訴し「全面勝訴」と宣言したこの裁判は、「日本臨床心理学会」という団体が、5名の個人に1000万円の金銭を支払えと求めた民事訴訟です。

ここでご留意頂きたいのは、誰が訴えられているのかということです。

實川幹朗は、心理職国家資格化について30年以上に亘り議論を提示してきた哲学者で、公認心理師法制化により、精神医療の網が全国民の心(思想・信条)の統制へと用いられる危険性を指摘していました。
中川聡は、精神医療被害実態の告発と社会啓発を被害者家族として10年以上に亘り地道に行ってきた活動家です。この提訴は、中川の長年の努力の成果が全国各地を拠点として、いままさに実を結ぼうとした時機でした。
金田恆孝は、現在の日本の臨床心理学の実践方法論の不備を指摘し、この国の風土にかなう癒しの方法論の探究と実践を実直に目指す臨床心理士・牧師です。
梅屋隆は、長年の病院職員、就労支援事業所管理者の経験から、精神科医療現場の実態を熟知し、精神保健福祉士事務所を独立開業し、経済的事情が深刻な相談者には低額にて、時には無償での支援に勤しんでいます。
戸田は、この日本臨床心理学会の20期執行部事務局長を務め、その業務で初めて知ることとなった、一般会員の期待を必ずしも反映しない執行部の独善と専横の実態を会員に向け公表し、退任後も全心協に帰属する旧来役員らへの抗議を行い続けました。

この5名の個人は、このSLAPP訴訟の「被告」となったことで、それぞれの活動分野での社会的発言が妨げられ、社会貢献を目指してきた長年の研究と実践活動に、いまも、そしてこれからも、多大な支障を来すこととなりました。

亀口氏を代表とする任意団体日本臨床心理学会が提訴した今回の訴訟が、どのような性格のものであり、何を目的とするのかは、以下の資料をご参照くだされば、明かとなるでしょう。

参考「東洋経済ONLINE」→http://toyokeizai.net/articles/-/3626

福永宏氏(上記文責者)は、SLAPP訴訟の特徴を以下のように纏めています。

1)刑事裁判に比べて裁判化が容易な民事訴訟である。被告にとっては刑事告訴がより深刻だが、民事訴訟は、紙一枚を書いて裁判所に行けば起こせ、相手にコストを負わせやすいという面がある。誰にでも使える合法的恫喝であり、だからこそ危険である。
2)公的問題がメディア上など、公の場所での論争になっている。
3)訴訟の原告あるいは被告は、その公的論争の当事者である。
4)その公的問題について公的発言をした者が標的とされ、提訴される。ここで言う「公的発言」とは、マスメディアに寄稿することだけでなく、その取材に答えること、ブログや記事を公開すること、新聞の投書欄に投書すること、意見広告を出すこと、労働組合を結成すること、チラシを配布すること、合法的なデモをすることなどが含まれる。
5)提訴する側は、資金、組織、人材などの資源をより多く持つ、社会的に比較強者である。
6)提訴される側は、それらの資源をより少なくしか持たない比較弱者である。
7)提訴によって金銭的、経済的、肉体的、精神的負担を被告に負わせ、苦痛を与える。つまり、弁護士費用、時間の消費、肉体的・精神的疲労などを被告(被害者)に負わせ、疲弊させ、反対・批判を続ける意欲や能力を失わせる。それにより、被告が公的発言を行うことを妨害する。また、被告が団体の場合には、団結を乱し、分断し、分裂させることを狙う。
8)訴えの内容、方法などに、合理的な訴訟ならありえないような道理に合わない点がある。
9)訴えられていない反対者・批判者も、提訴された人たちが苦しむ姿を見て、公的発言をためらうようになる。これをchilling effect(冷や水効果)という。
10)提訴した時点で批判者・反対者に苦痛を与えるという目的は達成されるので、原告側は裁判の勝敗を重視しない。つまり、訴訟に勝つことは必ずしも目的ではない。
【以上「東洋経済online」2010年2月2日号からの引用】

平成29年5月14日
戸田游晏(元第20期運営委員会事務局長)

 

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亀口公一氏記名文「全面勝訴のお知らせ」を受けて   への3件のフィードバック

  1. 川崎 のコメント:

    お疲れ様です。
    控訴事件番号、第一回口頭弁論期日、法廷番号を教えてください。

    • 日臨心デコ のコメント:

      川崎様

      お問い合わせを頂きありがとうございます。
      控訴事件番号は、本日(5月31日)通知がありました。

      大阪高等裁判所第12民事部に係属です。
      事件番号は、平成29年(ネ)1399号となります。

      なお、第一回弁論日時・法廷番号は、まだ通知がありません。

      平成29年5月31日
              一般社団法人日本臨床心理学会事務局
                          戸田弘子拝       

      • 日臨心デコ のコメント:

        控訴審第一回弁論期日は、平成29年7月20日(木)、大阪高裁別館7階、74法廷と決定致しました。

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